人々が現在までどのように時代を作り、世の中を変えていったのかを知るために歴史を調べる時、気を付けておかなければならないものが捏造です。
捏造とは、実際にあった物事などをわざと真実のように仕立て上げる事を言います。
歴史のなかでは、数多くの捏造が行われてきました。
今でも真実だと考えられてはいるものの、実は真実ではない歴史が教科書に載っている可能性もあるのです。
人々が捏造を行う理由はさまざま。
世間の人に対してわざと情報を流して勘違いさせることで自分の地位を保とうとしたために行われた捏造やだれかとの争いに勝つための捏造など。
では、弥生時代に関わるもので何か捏造されたものはあったのでしょうか。
考古学界最大の衝撃?
歴史に捏造はつきもの。
現在まで数多くの捏造がされてきましたが、日本の考古学界にしぼってみると、日本の考古学界最大の不祥事と呼ばれた捏造事件があります。
それが、弥生時代や縄文時代よりも昔、旧石器時代に関する捏造事件であり、旧石器捏造事件と呼ばれている事件。
この事件はある研究者が数万~数十万年前の地層に自分の手で石器を埋め、後日考古学での新しい発見であるかのように再び掘り出してみせた事件でした。
その行為ももちろん大問題ですが、一番の問題はそれが一度だけではなかったこと。
同じようなことを繰り返し、遂にそれらの発見によって日本の旧石器時代の始まりの時期を変えるなど、歴史を読み解くうえで大きな影響を及ぼすことになったのです。
それだけに、真実が明らかになった時の考古学界の衝撃は大きいものでした。
海外でも報道されたほど大きな事件となり、考古学界最大の不祥事として名を刻むこととなったのです。
弥生時代に同じことはできる?
日本の考古学で最大の不祥事とされたこの捏造事件。
しかし、弥生時代の遺跡などの調査では同じような方法で捏造することはできません。
その理由は弥生時代の遺構のつくりにありました。
旧石器捏造事件では縄文時代よりも前の旧石器時代のものとしてわざと埋めた石器を掘り出すという捏造が行われていました。
しかし、縄文時代以降、弥生時代ではそのころとは違い、遺構が地下を掘って作られているため、周囲の土を調べることでそれが本当にその時代のものなのかがすぐにわかるのです。
捏造を行う人物は?
土を調べることでその周囲から発掘されたものが本当にその時代のものなのかどうかがわかるようになった弥生時代。
そういった面では捏造が出来ないようになりましたが、それでも歴史上では捏造が絶えることはありませんでした。
捏造を行う人物は自分に都合のいいように権力をもって捏造を行えるような立場にいることもあったためです。
捏造は、歴史を振り返ってみれば、情報操作のひとつとしても使われていたのです。
旧石器捏造事件のような捏造は弥生時代にはできなくなりましたが、情報操作の一つとしての捏造はそれ以降も絶えることはなかったのです。